Q:初めて納入した先から振り出してもらった手形が不渡りとなりました。手形には紹介先の裏書がありましたので、裏書人に支払を求めたところ、振出日が未完成であったから払う義務はないと拒否されました。本当ですか。

A:本当です。手形を銀行に取り立てに出すときは、慎重に点検して完成させて出すよう心掛けてください。

手形が不渡りとなった場合は、手形の裏書人は振出人に代わってこれを支払う義務があります。ただ、これが認められるために は、期日に銀行を通じて取り立てる際、手形が100%完成している必要があります。質問の案件について、東京高裁(昭57・9・29判決)は次の通り判示しています。
「確定日払いの約束手形の所持人は、振出日白地のまま満期に支払のため呈示したとしても、裏書人に対する手形上の権利を行使することができない」
以上は振出日欄白地で取り立てに出した案件ですが、受取人欄白地のまま取り立てた場合も結構あると思います。

この場合も同様に、後日裏書人に対してその責任を追及することは出来ません (昭60・2・27東京高裁判決)。

なお、この東京高裁の事案は、受取人欄白地のまま取り立てに回して不渡りとなった後に、所持人が白地部分を補充して、裏 書人の不動産の仮差押をしたところ、この裏書人から、仮差押は不法行為にあたるとして、弁護士費用50万円の賠償請求が認められた事案です。不渡りの付箋がついて返却された後に補充してもだめだということになります。

また、懇願されて期日を延期して満期日を訂正したが、当該訂正個所に裏書人の訂正印がなかった事案なども、裏書人に対する請求が出来ません (東京地裁平17・3・30判決)。

なお、質問事案の裏書が納入先に対する売掛債権の保証の意味があるかというと、手形交付の際の事情にもよりますが、特段の合意をしたなどの事情のない限り、保証の意味はないとされています。

手形は慎重な取り扱いを要します。冒頭にあげた高裁の判決は次のように判示しています。
「…手形取引に関与しょうとする者は、手形が厳格な要式証券であることを当然認識しているか、これを認識して然るべきものである…」

「手形は厳格な要式証券」

期日に銀行を通じて取り立てる際、手形が100%完成してしている必要があります。手形は厳格な要式証券です。銀行に取り立てに出す際は慎重に。

熊本経済 平成20年1月号掲載