Q:当社は非上場の株式会社です。このたび、意見の対立があった少数株主Aから株式を買い取ってほしい、それがいやならBに譲渡するので承認してほしいと言ってきました。どのように対応すればよいでしょうか。

A:質問から見て、株式を譲渡するには株主総会か取締役会の承認を要する旨の定款の規定があると思われます。

これを前提に答えます。

Aの言い値で買い取るかどうかは自由に選択できます。

買い取りを断った場合はどうなるか。Aは正式に書面でBへの株式譲渡承認を求めてくるでしょう。

この譲渡承認請求から事が落着するまでの手続は会社法136条から145条に規定があります。
紙面の関係で詳細な手続は割愛しますが、会社はBへの譲渡を承認してもよい。この場合、Bが現経営陣に不都合な人でも今後の株主総会で毅然と対応する覚悟ならばかまわないところです。その代わり金は要りません。

しかし、この覚悟が出来ないなら、不承認と決定した上で、会社自身で引き取るか、会社にとって好ましい人Cを指定して引き取ってもらえます。そして、引取価格について合意が出来ないなら裁判所で決定してもらえます。この場合、会社かCのどちらかが引取価格分を拠出する必要があります。

この裁判所による株式の価格算定については、純資産価格方式や収益還元方式などありますが、どのような方式をとるか規定がありません。会社法144条3項が「裁判所は……会社の資産状態その他一切の事情を考慮しなければならない」と規定しているのみです。結局は個々の裁判官の解釈・裁量が働く事となります。

★キーワード「少数株式の譲渡を巡る力関係」

経営の主導権を取れない少数株主は、株式の譲渡承認を求めることで対抗してくる事があります。これに対する諾否はそのリスクを慎重に見極めて選択する必要があります。

熊本経済 平成22年4月号掲載